< 農業での「コスト削減」は、一般製造業のように思うように進んでいないのは何故だろう? >
2009年 3月 24日 火曜日
今回は、農業で規模拡大による、 「 コスト削減 」 が思うように進まない訳の1つを、
皆さんと共に検討したいと思います。
まず、農業の世界を一緒に確認してみましょう。
農業は 「 第一次産業 」 の分野で、 「 農林水産業 」 と一口に呼ばれています。
さらに 「 農 業 」 「 林 業 」 「 水 産 業 」と分けて呼ばれる場合が多いと思います。
「 農 業 」 のイメージは、主として 「 食 材 」 としての、
「 農畜産物 」 を生産していると直感的に思われますが、
最近では人々が心の安らぎを求めて家庭で使われる 「 花 束 」 や、
結婚式や各種イベント等で飾り付けとして活用される 「 花 卉 類 」、
さらには公園や家庭の庭で使われる 「 植 木 類 」 などを生産している
花卉経営まで含めて 「 農 業 」 と呼ぶようになっております。
その 「 食 材 」 を 「 農畜産物 」と一括して呼ぶ場合もありますが、
「 農産物 」 と 「 畜産物 」 、或いは 「 菌茸類 」 等と、
細分化して呼ぶ場合の方が多いかと思います。
私が着目して欲しいのは、その生産する 「 農畜産物 」 を、
「 最・終・商・品 」 として捉えるのか、
「 中・間・商・品 (=部品) 」と捉えるのかです。
そのどちらにも捉える事ができるのが 「 農畜産物 」 だ と私は思うからです。
「 農産物 」 の中の 「 果 物 」 を例に、
「 最終商品 」 として捉える場合を皆さんと共に、考えてみたいと思います。
「 果 物 」 は一部ジャムやジュースの瓶詰め等 (ペットボトルなど) や、
缶詰、ビニールパック等の姿に保存したものを、
加工食品として利用する場合もありますが、
そのほとんどが 「 生 食 」 として食べられる場合が多いかと思います。
「 果 物 」 の中でも 「 イチゴ 」 の利用場面を想定してみましょう。
「 イチゴ 」 と言えば家庭の食卓に 「 デザート 」 等として、
簡単に水洗いをした状態でそのまま或いは練乳などを付けて食べる、
「 生 食 」 の利用場面をすぐに思い浮かべると思います。
それ以外に、私達がすぐに思い浮かぶのは 「 ショートケーキ 」 のトッピング、
或いは最近では 「 イチゴ大福 」等、その利用範囲も広がりを見せております。
お菓子屋さんが、 「 ショートケーキ 」などにイチゴを使う場合は、
ケーキの部品=中間商品として利用されています。
この様に 「 最終商品 」として消費されたり、 「 中間商品=部品 」として使われたり、
その利用のされ方によって変化するのが、 「 農畜産物 」 ・の・特・徴・とも言えます。
「 イチゴ 」 は生食で食べる事ができますから、
各家庭で水洗いしてすぐに食べる場合が多いと思いますが、
「 水産物 」 ・で・あ・る・ 「 鮮 魚 」 の場合は、
一部生のまま 「 刺 身 」 などで 「 食べる 」場合もありますが、
そうばかりではない 「 食 材 」 と言えます。
つまり一般的には 「 切り身 」 の状態で、
購入し熱処理を施してから食べる場合が多いかと思います。
この場合、 「 鮮 魚 」 を、切り身として加工し 、
「 パック詰め 」 の姿で消費者が購入した場合は、
スーパーや魚屋さんで 「 加工処理 」 を していると理解します。
姿のままパックに入っている場合もありますが、
いずれにしても、その前の段階の 「 鮮 魚 」 は 「 部品=中間商品 」 と捉えます。
イチゴもパックに詰められスーパーや八百屋さんで売られていますが、
イチゴは農家である生産者がパック詰めしていますので、
同じ 「 最終商品 」 として消費者が購入しても、
この点が 「 刺 身 」 ・と・は・違・い・ま・す 。
なぜなら 「 鮮 魚 」 から 「 刺 身 」 或いは、
「 切り身 」 にする場合は、 スーパーや魚屋さんで包丁を入れパック詰めしているので、
漁業者 (農業で言う生産者=漁師さん) が、パック詰めしている・訳・で・は・な・い・からです。
同じように、魚が 「 刺 身 」 や 「 切り身 」 でなく、
「 姿 」 のままパックに入っている場合もありますが、
その場合でもスーパーや魚屋さんには箱に入った状態で仕入れられ、
小売店でパックされておりますので包丁等で加工しなくとも、
この場合は中間部品として仕入れられたと理解します。
つまり、同じ 「 パック詰め 」 という姿で並べられていて、
消費者から見れば同じ 「 最終商品 」 ですが、
その前の段階を見ると 「 イチゴパックは最終商品 」 ですが、
「 刺 身パックは中間部品 」
「 パック入りの姿の魚も中間部品 」 として小売店に仕入れられ、
その後 「 最終商品 」 となったと言えます。
一般的に 「 刺 身 」 以外の 「 切り身 」 は、
各家庭で調理 (加工処理) を しないと食べられないわけですが、
「 最終消費者 」 ・で・あ・る・お客様が買い求めた時点で、
提供された商品を 「 最終商品 」 と理解します。
つまり生で食べられる事の少ない 「 姿の魚 」 でも、
例えお客様が家庭で包丁を使い刺身にして食べても、
パック入りの 「 姿の魚 」 が 「 最終商品 」 ・と・な・り・ま・す・・。
したがって、同じスーパーで売られている 「 鮮 魚 」 で、
姿のまま箱に入った状態で店に出され、
そこから消費者が自分でビニール袋などに入れ購入する場合は、
「 イチゴパック 」 と・同・じ・ 「 最終商品 」 ・と・し・て・
小売店に仕入れられた事となります。
つまり漁師さん (生産者) の意志にかかわらずその時点で、
「 最終商品 」 ・と・な・っ・た・と、言えます。
「 畜産物 」 の 「 肉 」 となると、流通過程で各部位毎に切り分けられ、
さらに小分けされパック詰めとなります。
少なくとも畜産農家から出された状態を 「 最終商品 」 ・と・は・言・え・ま・せ・ん。
さて、スーパーや魚屋さん等の小売業で販売されていたとしても、
その時点で全ての商品が「最終商品」だと決めつける事はできません。
なぜならスーパーや魚屋さん等から商品を買い求め、
それを調理してお客様に提供している 「 外食産業 」 の方々もいらっしゃるからです。
この場合はスーパーや魚屋さんで売られたパック詰め商品でも、
「 部品=中間商品 」 となってしまいます。
最近は、高齢者向けに柔らかく食べやすい 「 冷凍食品 」 や
「 レトルト食品 (加工食品) 」 が数多く開発されていると聞きます。
今後は消費者の 「 利便性 」 や 「 快適性 」 を付加した加工食品は、
ますます増えると予想されます。
「 最終消費者 」 である 「 お客様 」 は、多様な欲求をお持ちですから、
それらを満足させようとする 「 食 材 」 の提供がなされ、
今後ともそれら商品に囲まれた購買環境の中で、お買い物をしてゆくと感じます。
既に青年農業経営者の皆さんは、上記の検討を進めた結果、
生産者が 「 最終商品 」 として出荷しているか、
或いは 「 中間商品=部品 」 として出荷しているかが、
重要なポイントとなっていくる事に気づかれたと思います。
つまり生産者から出荷された後の使われ方が、
出荷された農産物の 「 価 格 」 に大きな影響を及ぼす事となるからです。
・家庭で直接使われるのか?
・外食、中食の下ごしらえで「生のまま」調理加工されるのか?
・一度「冷凍」或いは「レトルト」等に加工されてから調理加工に使われるのか? 等々
生産者から出荷されて、お客様が消費されるまでの流通過程で、
何社 ( 何段階 ) も経由 (=出荷後さらに価値を付加) ・す・る・の・か・で、
生産者の価格は・大・き・く・左・右・さ・れ・る・と言えます。
つまり、消費者に 「 最終商品 」 としてお買い上げ頂く場合、
どのように加工 (価値を付加) しても 「 食 材 」 には変わりはなく、
お客様の感覚には 「 値頃感 」として、おおよその値段が
それぞれの頭の中に存在しているからです。
したがって、それを提供している会社にとっては、
その商品見合いの価格が、重要なポイントとなっているのです。
つまり出荷後さらに価値を付加した商品 (=コスト増 ) を、
積み重ねる事となりますが、提供する会社としては
お客様の 「 お買い得感=満足感 」 を高めるに、
お客様の知っている原材料価格に、単純に付加価値分を上乗せした価格で
提供したのでは、その会社の存在する価値 (=意味) が薄らいでしまうからです。
したがって、それらの会社で、利益を出しながらお客様の満足を得るために、
必要になってくる工夫の1つが、 「 原材料の仕入れ価格 」 を、低く押さえる事となります。
【まとめ 1】、「 最終商品 」が、
モノづくりの 「 最終価格=付加価値の高い価格 」となる。
さらに、 「 最終商品 」 を作る者が
「 最終商品の価格 」 の決定に際し情報提供も含めて参画できる。
【まとめ 2】、 「 最終商品 」 から遠ざかほど、
出荷先から 「 下値圧力 」 が強くなり生産者の利益が出にくくなる。
【まとめ 3】、農畜産物でも「最終商品」を生産するには、
材料の仕入れ原価を低く抑える必要がある。
【まとめ 4】、「 最終商品 」 を、購入するお客様の値頃感は、
普段のお買い物で経験した商品(農畜産物)価格によって養われ、
その知識で他の商品を比較検討している。
お客様にとって 「 食 」 ・関・係・の・商・品・は、
原材料が他の製品よりも身近にあり 「 価 値 」 や
「 価 格 」 ・の・比・較・が・容・易・な・商・品・の1つとなっている。
ちょっと話しが脇道に逸れましたが話しを整理しますと、
「 小売店で並んでいる状態 」 或いは 「 中食の総菜、外食のメニュー 」 など、
最終的に口に入れる 「 消費者 」 であるお客様が購入した時点で、
提供されている商品を 「 最終商品 」 であると、 ここでは理解する事とします。
さて、青年農業経営者の皆様は、今までの 「 この議論 」 、どう感じられましたか?
上記の様に、 コスト削減には、何処の業界でも
「 原材料= 部 品 」 の仕入れ価格を低く押さえると言うことが
重要なポイントの1つだと言うことです。(長くなりました)
次に、 「 イチゴ 」 のように生産者段階で 「 最終商品 」となる農産物を例に、
その 「 生産コスト 」 に、影響を及ぼすものを拾って見たいと思います。
つまり、「 流 通 」 や 「 加 工 」 の経費を考えない場合です。
まずは 「 原・材・料 」 ・か・ら・で・す・・。
「 農産物 」 の場合、生産物が 「 最終商品 」であれ
「 部品=中間商品 」であれ、
直接的に必要となってくるのが、生産資材として、
「 種 苗 」 、 「 肥 料 」 、 「 農 薬 」 、等をあげる事ができます。
その他に経営をするためには、 「 土 地 」 、 「 機 械 」 、
「 目的に合わせた施設 」 等の 「 投 資 」 が・予・め・必・要・となります。
つまり大まかに言えば、
これらが 「 農産物を生産するために、直接必要となる費用 」 として此処では含めます。
生産者が農産物を販売するにあたり 「 希望価格 」の基礎となるのは、
「 生産に直接使われた経費 (主に生産コスト)=直接生産費 」 です。
上記以外で 「 生産コスト 」 に関わってくるものとしては、
「 ヒ ト = 人件費 」 等があります。
ここでは 「 ヒ ト 」 等については、
「 農 業 」 と 「 工 業 」 では違いはないと理解し、
「 原材料 」 と 「 投 資 」についてだけ
「 農業 と 工業 (=製造業) 」 の比較をしてみたいと思います。
最初に 「 原材料 」 の部分ですが、
「 製造業 」 の場合、「 最終商品(=完成品) 」 を
「 組み立てて完成させる会社 (製造業=メーカー) 」 と
「 部品を製造している会社 」 に大別されます。
「 完成品 」 を作るためには 「 数多くの部品 」が必要となります。
したがって 「 最終商品を組み立てる会社=需要側 」 は、
その 「 部 品 を作っている数多くの会社=供給側 」 によって支えられており、
「 需・要・側 」 を、頂点に 「 供・給・側 」 が広がる
所謂 「 ピラミッド型 」 の構造になっています。
「 最終商品 」 を組み立てる会社は、このように部品会社を分散する事により
「 リスク分散 」 と同時に
「 コスト圧縮の要請交渉が有利な立場 」 を確保していると言えます。
それらの 「 部品製造の会社 」 の中には独自の技術を保有し、
その会社だけでしか製造できない部品の場合もありますが、
多くは同じような部品を手がけている会社を数社確保しているのが通例です。
最近では 「 従来から取引のある最終商品を組み立てる会社 」 の系列から離れて、
同じ様な最終商品を組み立てている会社、
つまり従来の最終商品の会社と競合関係にある他社にも
部品を納めている会社も多いと聞きます。
このように 「 複数の完成品を組み立てる会社 」 に部品を納めている会社は、
得意分野の技術やコストを低減する等により、
販路を広げて成長している部品製造会社と言えます。
さて、 「 農畜産物としての食材=完成品=最終商品 」の場合はどうでしょうか?
「 農 業 」 と言う産業の基本は、 「 土地や施設 」 に予め投資し、
「 太陽エネルギーと水 」、
「 肥料・農薬や機械・装置 」 などを活用して
「 植物の同化作用 」 或いは 「 動物の成長を促し 」 、
目的としている 「 収穫物 (=生産物) 」を生産し、
それを商品として販売していると理解できます。
その場合、 < ここでは 「 農産物 」 の場合 >
製造業で言う 「 エネルギー 」 は、 「太陽エネルギーや重油、電気」
製造業で言う 「 工場 (=施設)や機械 」 は、
「 農業機械 や ハウス、農器具類」
製造業で言う 「 部 品 」 は、 「 種苗や肥料、農薬など 」
と大まかに置き換えて、
これらの 1、「エネルギー」
2、「工場や設備」
3、「部品」 について、
需要側を主体に農業と製造業の「需給構造」を比較してみたいと思います。
1、「 エネルギー 」 については、 「 農業と製造業 」 ・で・は・・、
需給構造は同じと見る事ができます。
どちらも 「 逆ピラミッド型 」 と言えます。
つまり、 「 エネルギー 」 ・で・は、
供給側の数が少なく需要側の数が多いと言う構造は、
「 農業と製造業 」 ・で・も・同じだと言う事です。
2、 「 工 場 や 機 械 」 はどうでしょうか?
私の目には、「工場」は条件が同じとも思えますが、
「 機 械 」 は条件が違うのかなと感じます。
「 工場などの施設 」 は、農業では施設野菜等の栽培で使われるビニールハウス等を、
製造業の工場と見ることが出来ます。
さてその場合の、ビニールハウスの建設を依頼する農家の数はどうでしょうか?
多分、農家 (需要側) の数の方がビニールハウスのメーカー (供給側) よりも多いと、
私は思います。 (逆ピラミッド型)
一方、製造業の場合はどうでしょうか?
多分、農業の場合ほどではないにしても 、
製造業である建設依頼主 (需要側) の数の方が、
建設会社 (供給側) の数よりも多いかと私は推測します。 (逆ピラミッド型)
それでもビニールハウスメーカーと農家の数の比ではないかとは感じます。
いずれにしても、需要と供給の数の関係 (=需給構造の型)では、
「 農業も工業 」 も 同 じ 「 逆ピラミット型 」 と言えます。
「 設 備 」 ・で・あ・る・ 「 機 械 」 はどうでしょうか?
製造業の工作機械を作る会社とそれを使う会社の数ですが、
ちょっと私には推測が難しいです。 …済みません…。
多分、特殊な工作機械を作る会社は1つだと思います。
需要側が多く供給側が少ない 「 逆ピラミット型 」 ・と・言・え・ま・す。
では<<農業ではどうでしょうか?>>
機械を使う農家 (需要側) の数と、
機械を製造するメーカー (供給側) 、或いは販売店です。
これは、圧倒的に農家の数の方が多いと言えます。 (逆ピラミット型)
農業機械のメーカーは限られております。
こちらも特殊な工作機械は1社程度だと推測します。
一般の製造業と農業の 「 需給構造の型 」 は、
ど・ち・ら・も・同・じ・ 「 逆ピラミッド型 」 ・で・す・・。
< さ て 、>
3, 「 部 品 」 ・で・は・ど・う・で・し・ょ・う・か・・・?
先ほどの例にあるように製造業では、
完成品メーカー (需要側) を多くの部品メーカー(供給側)が支えています。
同じような部品を作っている会社も数多くあります。
つまり 「 需要側 」 の数が少なく、 「 供給側 」 の数が多い構造になっています。(ピラミッド型)
・農・業・で・は・ど・う・で・し・ょ・う・か・・・?
「 種苗や農薬、肥料」メーカー (供給側) の数 ・と・ 農家 (需要側) の数では、
圧倒的に完成品を作っている農家 (需要側) の数が多いと言えます。(逆ピラミッド型)
また、ほとんどの 「 種苗や肥料、農薬は代替えが効かない特殊な商品 」 ・・として、
流通しているのがほとんどです。
・し・た・が・っ・て・完全な 「 逆ピラミッド型 」 ・と・言・え・ま・す・・。
農業と工業では、同じ 「 モノづくり 」 を仕事にしていても、
その 「 部 品 」 の調達構造が 「 ピラミッド型 」 と 「 逆ピラミッド型 」 と 、
「 ・ま・っ・た・く・反・対・ 」 になっております。
つけ加えますと、一般製造業と農業者を同じモノづくりとして比較した場合、
完成品を作るのに必要とされる 「 部 品 」 の需給構造が、
工業では完成品を組み立てる会社、
いわゆる需要側を頂点とした 「 ピラミッド型 」 となっていますが、
農業・で・は・、 「 肥料や農薬など 」 の部品は、
供給側を頂点とした 「 ピラミッド型 」 ・と・な・っ・て・お・り・・、
ま・っ・た・く・ 「 逆 さ ま 」 になっているのに・気・づ・か・れ・た・と思います。
したがって私が推測するには、 「 農業経営者 (需要側) 」 と、
資材の 「 小売業者 (供給側) 」 ・と・の・間・で・価格交渉の幅はあまりないと思えます。
つ・ま・り・ メーカーの言いなりの 「 価 格 」 で・購・入・せ・ざ・る・を・得・な・い・と感じます。
もう少し、この 「 部 品 」 に 「 農業と工業 」 について掘り下げて見ましょう。
先ほど申し上げましたように、一般に完成品(商品)を作るメーカーの場合、
その商品を組み立てるのに必要な部品は、必ず調達しなければなりません。
したがって、 「 最終商品 」 を 作る完成品メーカーを頂点に、
同じように必要な部品を供給する会社が、数多くあるのが一般的です。
その会社でしか出来ない部品を作っている会社もありますが、
それでもその特殊な中間部品を頂点に、そこに部品を納めている同じような会社があります。
もう、お解りの事と思いますが、製造業では中間部品或いは部品でも、
同じような部品を数多くの小さな会社が手がけております。
つまり、1つの中間部品や完成品を作る会社 (需要側) を頂点に、
部品を作る会社 (供給側) が 「 ピラミット 」 のような構造に広がっているのです。
しかも同じような部品を作っている或いは作れる会社が・ひ・し・め・い・て・い・る・と言えます。
<< ?さ・て・・、農業はどうでしょう? >>
先ほどご紹介したように、 「 工 場 = 施 設 」 や 「 機 械 」 は別にして、
「 部 品 」 である 「 肥 料 や 農 薬 」 ・で・は・、
まったく反対の 「 需給構造 」 ・と・な・っ・て・い・た・ と思います。
完成品である農畜産物を作る農家 (会社=需要側) が数多くあり、
「 肥 料 や 農 薬 」 ・を・作・っ・て・い・る・会・社・・(供給側) が少ないのです。
つまり、完成品メーカー (農家)の数は、
部品会社 (肥料や農薬メーカー)の数より少ないのです。
<< 工業製品の場合、 >>
完成品メーカーは部品会社に対して取扱量が多ければ多いほど
「 コスト削減 」 を・求・め・る・と聞きます。
これは使う「部品」の量が多ければ多いほど、
関連会社へのコスト削減を求める圧力が大きく、一般にはその効果も大きいと聞きます。
その例を、最近のニュースから拾ってみました。
台湾のパソコンメーカー 「 アスース社 」 ・の・躍・進・が、話題を呼んでいます。
これまでは、複数の日本のパソコンメーカーからの下請けで、
中間部品を作っていた台湾のメーカー ( 「アスース社」 ) が、
機能を絞り込んだ小型のパソコンを日本市場で低価格で発売し話題を呼んでいます。
いわゆる5万円パソコンです。
聞くところによると、その台湾のメーカーは、日本メーカーの下請け企業でしたが、
自らの中間部品メーカーとしての優位性を活かして、その中間部品をつくるにあたって、
その部品を供給している会社にコスト削減を迫った結果、
格安で自社製品 (機能を絞ったパソコン) を、製造できたと言うことでした。
同じ製品 (=機能を絞ったパソコン) を日本のメーカーが作ろうとすると、
その台湾のメーカーのパソコンにはコスト面でかなわないとの事でした。
したがって小売店段階で販売価格に差がつき、
現状ではその台湾メーカーの一人勝ちとの事でした。
その台湾のメーカーを、自社独自の格安パソコンの製造を可能にさせたのは、
下請け会社に対して 「 コスト削減 」 を、要請できたからだと聞きました。
つまりその中間部品を作っていた台湾メーカーは、
同じ中間部品を作っている日本のメーカーよりも、
発注する部品の量が圧倒的に多いことから、
格安で中間部品を作る事ができているとのでした。
日本の多くの完成品メーカーが、
台湾の中間部品を作っていたメーカーに頼っていたためと聞きます。
したがってその台湾のメーカーは部品調達力が高いため、
その他の部品も含め格安の部品を調達する事ができていると聞きます。
したがって日本の完成品を作るメーカーが、
同じ能力の パソコン (完成品) を、作るよりも格安に出来たのだとの事でした。
これなどは、コスト削減には 「 経営内部で生産効率を上げる等の努力 」 も必要ですが、
部品等を 「 調達する (=仕入れ) 構造上の優位性を利用 」・し・た・
「 コスト削減 」 ・も・・有・効・であるとの一例と言えます。
さらに、それだけの 「 中間部品 」 製造会社でさえも、
それだけの製造に安住することなく 「 最終商品 」 ・づ・く・り・に挑戦している。
つまり 「 最終商品 」 ・づ・く・り・の大切さを実感させられます。
さて、 「 農畜産物 」 を 「 最終商品 」 ・で・あ・る・と捉えても農業の場合は、
製造業のように 「 最終商品 」 を作る会社(需要側)が、
多くの下請け部品会社 (供給側) の上に成り立っている構造とは、
まったく反対の構造になっていおりますから、
この面での製造業のようなコスト削減は難しいと感じざるを得ません。
この辺が経営規模の大きな農業経営者が今後も規模拡大を継続しても、
相変わらず農業経営には 「 厳しさが残る・の・で・は・な・い・か・・? 」 と、
不安を抱き規模拡大に躊躇する理由ではないかと推察できます。
「 投 資 」 を必要とするもので 「 機 械 」、
「 施 設 」 については、検討が済んでおりますが、
もう一つ、 「 土 地 」 が ・残・っ・て・お・り・ま・し・た・・。
さて、農業と工業で規模拡大を比較した場合、
規模拡大に要する面積に圧倒的な違いがあります。
農業の場合に規模拡大を進めるには、日光や土壌さらには微気象等、
栽培技術に大きく影響を及ぼす環境条件が存在します。
これは工業とは大きく違うところです。
つまり栽培環境の条件に恵まれていれば、
農産物の生産管理の技術と労力が非常に有利になってきます。
したがって規模拡大をするにあたり、農産物の成長に有利な環境条件を選ぶ必要があります。
海外のように何処まで行っても平地が広がる地形でしたら (参照:「各国農業概況=農林水産業」)、
日光、土壌、気象等の条件は同じと言えますが、日本の場合は、
どちらかというと急峻な山を抱えその段差を利用して用水を通し水田が開発される等、
その地形の特徴を活用した農業技術を発達させて来ております。
日本地図の上では、平野部が広がっている地域でも、
現実にはそれらのほとんどで都市地域が発展してきております。
その都市地域の郊外ならばと目をこらしますと、
農地と農地の間に道路、電線、そして住宅等が網の目のように入り込み、
海外のようにセスナ機やヘリコプターで播種をしたり、
農薬を散布する等の効率の良い作業が出来る環境条件にはない状況にあります。
それ以外は所謂、中山間地域となります。
山と山の間に水田が入り、その水田には平野部と同じように
道路、電線、住居などが通っております。
このように多様な地形の特徴を備えているのが日本と言えます。
大規模化を進めるには、、土地の集積を図れば機械作業等の効率化が進み
コストの削減が進むとは言い難い事は、容易に理解できます。
つまり大規模化が進まない理由の1つには、
土地の集積が進まない理由として、
流動化を阻害している様々な要因よりも、
上記のような日本が抱えている地形や社会的背景など
我が国独特の上記のような
その他の要素が大きく関与していると理解すべきと考えます。
勿論、土地の集積を図れば大規模な農業経営を展開できる地域も数多くあります。
しかし比較的平野部に整備された水田に限ってみても、
全国的に大規模化に対応できる基盤整備を済ませ、
かつ近隣に住宅などが混在しない条件を備えた地域は限られていると言えます。
特に低い山が連なる山間部(中山間地域)に点在している、
市町村であればなおさら、大規模化が進みにくくなります。
国の財源と生産者の自己負担を考慮しても、
規模拡大に踏み切るにはハードルが高いと捉えている農業経営者も多いと思います。
彼等は、農業では工業のように規模拡大をしても、
その割には規模拡大の効果が生産コスト面に現れ難い
(=思ったほどコスト削減の効果が出難い=農産物価格の低迷も関与=)と感じていると思います。
勿論、 「 生産コスト 」 を下げるためには規模拡大が必要であり、
それに伴い土地面積の拡大が必要になってきます。
つまり土地面積の拡大は、栽培環境や地形などを選び、
海外に比べれば急峻な地形が多く、住宅地でスプロール化が進んだ日本では、
経営者が願うような条件を備えた地域は限られてしまうと言うのが理由の1つとなります。
2つ目は、地形や気象等の条件を克服できるよう
「 投資をして規模拡大しても儲からない 」 など
経営面での負担が多い事(農産物価格の低迷)も理由の1つに上げられると思います。
そもそも誰が考えても単純に収益が上がれば、
規模拡大は進んで来たのがこれまでの農業の実態でした。
したがって規模拡大が進まないのは、
規模拡大し生産コストを削減しても投資したほどの効果が期待できなく、
「 収益が見込めない 」、したがって 「 規模拡大をしない 」 と言えます。
最近の議論では、海外の価格の安い農産物に対抗するためには、
「 生産コスト 」 を下げなければならない。
「 生産コスト」 を下げるには、 「 大規模化=規模拡大 」 ・を・し・て・
「 生産効率 」 を上げなければならない。
「 規模拡大 」 が進まないのは、
「 農地の流動化 」 が進まないからだと、結論づける場合が多いように思います。
それでは、農地の流動化を進める当事者である
「 出し手 」 と 「 受け手 」 の意向はどうなっているのでしょうか?
下記のデータを参考にして私なりの見解を添えてみます。
別添 平成20年度の 農林水産省の全国のアンケート調査、
「 経営する農地の拡大・縮小に関する意識・意向調査 」 ・に・よ・る・と
1、農地の規模を拡大した理由として一番多かったのは、
「 農地を引き受けてほしいと言う他者からの依頼が多い 」 ・と・の・理・由・からでした。
【吾妻山の風の見解】、
積極的に経営を強化するために規模拡大したわけではなく、
農地を借りて欲しいとの農家の熱意により規模を拡大したとの意向が
背景に読み取れます。
次に 「 品種や機械、栽培技術といった技術面でシンポがあり
生産効率が上がったため 」 が続いております。
ここからは、積極的に経営を強化するために
農地の規模拡大を進めたいとの意向が読み取る事ができます。
2、今後、経営を拡大する、農地の規模拡大したいの理由は、
「 後継者がいるため 」 「 農地を引き受けてほしいと言う他者からの依頼 」
との結果となっています。
【吾妻山の風の見解】、
どちらかと言うと積極的な規模拡大の意向よりは、やむを得ずとの意向を感じます。
3、規模を縮小した理由は、「 高齢化により労働投入量が減少したため 」
「 農産物価格や単位あたりの収益が低いなど、農業経営の環境が悪かったため 」
4、今後、経営する農地の規模を縮小したい理由は、
「 農産物価格や単位面積あたりの収益が低いなど、農業経営の環境が悪いため 」
「 高齢化により労働投入量が減少するため 」 となっています。
【吾妻山の風の見解】、
後継者問題を含めた経営上の理由が読み取れると感じます。
【 吾妻山の風の見解、 ま と め 】
つまり、1~4をまとめてみますと、
「 出し手側では熱意が高く、なんとか耕作してほしい 」、
「 受け手側では、経営の厳しさも含め、頼まれたからやむを得ず引き受けている 」
との意向が読み取れます。
つまり農地に限ってみれば、 「 出し手側 」 と 「 受け手側 」 の需給に、
アンバランス感はありますが、 「 出し手 」 と 「 受け手 」 の
農地流動化の環境は整いつつあると受け止める事ができます。
しかし、積極的な経営規模拡大の意向が農地の 「 受け手 」 側には読み取れなく、
その背景として 「 規模拡大をしている経営者 」 も、
「 規模を縮小した経営者 」 と同じく
「 農産物価格や単位あたりの収益が低いなど、農業経営の環境が悪かったため 」 と
言う経営環境の厳しさを共有していると言えます。
その理由としては、農業経営者も海外の農業を視察研修する等により
海外の農業経営規模を十分すぎるほど理解している事にもあると思います。
現実には農業経営者の不安は、
何処まで規模拡大すれば望ましい経営効果が得られるのか、
まったく見通しが立たない事にも規模拡大意欲が湧かない理由の1つだと私は感じます。
上記の様に 「 農地の流動化 」 を促進するために
「 流動化の条件を整える 」 だけではなく、
その他にも上記のような要因があると私は感じています。
以上、 「 流 通 」、「 加 工」 を除いた農産物という
「 最終商品 」 を生産するための 「 生産コスト削減 」 について
「 エネルギー 」 としての 「 太陽、重油、電気 」
「 原材料 」 としての 「 種苗や肥料、農薬 」
「 投 資 」 としての 「 施設、機械、土地 」
と 「 生産コスト削減 」 の要素について、皆さんと一緒に検討をしてきました。
その結果、
1、「農畜産物」である商品を生産するにあたり 「 エネルギー 」 は、一般工業 の会社と同じ構造でした。
「 工 場 」 の調達では、 「 施 設 」 の建設も一般製造業と同じだと言えそうでした。
「 機械 」の調達では 「 農業機械 」の購入でも、
一般製造業と比べると同じ逆ピラミットでした。
「 部 品 」の調達である「種苗や肥料、農薬」では、
一般の製造業と比べると「まったく逆」の構造となっておりました。
つまり「種苗」「肥料」「農薬」等の農業生産に必要とされている部品は
一般製造業と比べた場合、需給構造がまったく異なり、
農業ではコスト圧力の効果は発揮し難い状況にあると言う事でした。
2、消費者の購買行動として「外食」、「中食」、「その他の加工食品」が
多くなれば多くなるほど「農畜産物」は「最終商品」としての位置づけではなく、
これらの企業(需要側)から部品としてのコスト圧力を受けやすくなります。
【 農産物は、食材の中でも代替えの効く部品生産としての位置づけが強くなり、これまでの「農産物=生食での取引=最終商品」ではなく「加工食品」の「原材料」として、ますます外部からのコスト圧力を受けやすい立場となった 】
【 つまり、規模拡大しても、市場(マーケット)にモノが溢れている状況下では、ピラミットの位置づけが低くなれば低くなるほど外部からのコスト圧力が強く販売面で価格維持が難しく=農産物価格の低迷傾向=経営効果が出にくい 】
ここまで、一般の製造業と農業の比較をしながら、モノを生産する場合に必要な部品調達について、その構造面から検討してきました。
その結果=農産物が工業製品のように規模拡大の効果が出にくいのは=
「原材料」の「種苗や肥料、農薬」では、農業と工業の需給構造が正反対となっており、農業では工業のようにコスト削減効果を発揮する事が難しい事。
「投資」では「土地」で、農業では栽培環境を選ぶ必要もあり、海外に比べれば規模拡大の地域が限られる事。
さらに、事業費をかけても規模拡大によるコスト削減効果はそれほどではなく、その効果が得難い事。
(現状の農産物の価格が低迷している農業経営環境では、規模拡大に要する経費に比べ、コスト削減効果が出に難い事。)
農業経営者の本音としては、これまでも規模拡大を進めてきており、
この先何処まで経営規模を拡大すれば豊かな経営が実現できるのか、
特に海外の経営規模と自らの経営規模を比較した場合、最終目標が見えない事、
「 規模拡大意欲=規模拡大によるコスト削減意欲 」 が湧かない事。
等が、農業での 「コスト削減」 が、一般製造業のように思うように進まない理由として浮かび上がりました。
それでは農業生産者は、「農産物」と言う「最終商品」を生産する立場から遠くなり、
外部からの「コスト圧力」を受けているだけなのでしょうか・・・?
「いえいえ経営を改革するためには、今がチャンスです」 へ続く
